2011年12月11日日曜日

濁音を清音の謎 日本語の不思議


日本人は、得てして「ベッド(bed)」を「ベット」、「ドッグ(dog)」を「ドック」を「バッグ(bag)」を「バック」など本来、濁音で発音する語を清音にしてしまう傾向があります。この発音につられるためか、このような表記の原稿を見かけることがあります。

 例えば、イラクの首都「バグダッド(Bagdad)」が「バグダット」とか「バクダット」に、伝説の大リーガー「ルー・ゲーリッグ(Lou Gehrig)」が「ルー・ゲーリック」になってしまうなどです。
 これはもともと日本語には促音の次に濁音が続く語がほとんどなく、この手の外来語の発音が不得手になってしまったのではとの説が有力です。

 そのためか、疲れてふらふらになる様を表す「グロッギー(groggy)」などは、多くの辞書の見出し語で「グロッキー」の方が採用されています。「グロッキー」の発音があまりにも広く行き渡ってしまったためでしょうか。ただし、新聞表記では本来の「グロッギー」です。

  そう言えば、歌手aikoさんの「ボーイフレンド」というヒット曲の歌詞の中に「テトッラポット登って~」と言う一節がでてきまが、正しくは「テトラポッド(tetrapod)」。ただし、テトラポッドは登録商標なので紙面上では「消波ブロック」と言い換えて表記します。
 一方、清音が正しいのに濁音になってしまうケースも。「人間ドック(doc)」が「人間ドッグ」に、「キャスチングボート(casting vote)」が「キャスチングボード」になどです。

 また、某ネット通販大手のサイトでアメリカの女優で歌手「ベット・ミドラー(Bette Midler)」のCDが「ベッド・ミドラー グレイテスト・ヒッツ」として販売されているのを見かけました。
  ところで、紅茶などの「ティーバッグ(tea bag)」の濁音を清音にすると別の意味になってしまいますね。ご注意を…。(に)


 【赤字のお仕事】 産経新聞社の校閲記者が、日ごろの編集業務で体験した興味深いエピソードや豆知識を綴ったリレーエッセーです。

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