まず、会場に入った時、
ステージと客席の手が届きそうな距離感に驚いた。
水の中を連想させる幻想的な映像と音の中で、
吊るされた布が存在感をもって浮いている。
いきなり現実とは違う空気に包まれた気がした。
始まりの合図、鐘が鳴る。
水のような映像が広がり、目の前は青い世界。
不思議な場所に来た気分。
人が歩いてきて、布に手をかけ動き始める。
その人にも青い映像が掛かっていることで、
私たちと同じ人間ではなく、「青い世界の生き物」 という演者であることをより認識した。
布に足を掛け、上ったり、包まれたり。
人の動きと連動して変化する布が、柔らかくて、 強いものなのだと感じた。
動きがゆっくりだからなのか、演技を見ているというよりは、
その人がそこで動いているのを、ただ眺めるような感覚になる。
青い世界を外から覗いているような、 水族館で水槽を眺めているような、そんな感覚。
普段、劇や映画を観ていると、 次はどうなるのかと頭で考えることが多いが、
逆に今回は思考が頭から離れていってしまい、
ただその流れを感じる、ということで成り立っている。
一つ一つの演技に意味はあるのだろうけど、 答えはないような気がするし、
答えを見つける必要もない気がする。
楽しそうだな。表情が穏やかだな。歌う声が澄んでいるな。
コントラバスと息が合っているな。深く響いているな。
このような単純な感覚が湧き出ては流れていく。
このストーリーがどうなっているとか、狙いは何なのかとか、
そんなことから完全に切り離された空気の流れ。
映像と、空中での演技と、歌と、コントラバスと、ホーメイと、 鐘と。。
全部が共鳴し合いながら、溶け合いながら、 独特の空気感を纏っている。
全部が共鳴し合いながら、溶け合いながら、
あっという間に2時間が経っていた。
終わった後は瞑想後のように頭がすっきりしていた。
終わった後は瞑想後のように頭がすっきりしていた。
心地よくて何回か寝てしまいました。。これは驚き。
きっと見る人によって、 感じることが全然違うんだろうなと思った。
演技の細部に目をやる人、音楽に聴き惚れる人、 全体の空気を感じる人。
その時の自分が何を求めているのか。 それが作品を通して自分に教えてくれる。
見る人が全員同じ方向に向かっていない、 というか向かわないように
曖昧にしている部分がきっと多いんだろ うなと。
それが演劇や映画などと違うアート的な要素なのだと感じた。
もし可能なら、客席ではなくて、
自由な角度から体感してみたいなと感じました。
文:松村(インターンシップ)
0 件のコメント:
コメントを投稿