2011年8月5日金曜日

中国の精神疾患、重度患者は1600万人超える。

上海の目抜き通り、南京東路を行き交う人々。中国では急速な経済発展で豊かさを享受する一方、精神疾患を抱える人が増え続けているという

上海の目抜き通り、南京東路を行き交う人々。中国では急速な経済発展で豊かさを享受する一方、精神疾患を抱える人が増え続けているという

 中国の精神障害者は2009年時点で1億人以上に上り、このうち重度の患者は1600万人を超えた。単純計算では100人中13人が精神障害者であることになり、心臓疾患やがんなどを上回っている。中国国営新華社通信が伝えた。

 中国ではここ数年、精神障害者による児童への無差別殺傷事件のほか、大学生による自殺の多発、台湾電子機器大手、富士康の従業員による連続自殺などが大きな社会問題として注目されている。山西省厚生庁疾病予防所の李貴所長は「中国の精神障害病の患者数はB型肝炎の患者数に接近しており、社会の安定を脅かしている」と強い懸念を示している。

成人の18%
 全国の成人の12%に当たる住民を対象に行った調査によれば、成人の中で何らかの精神障害を持つ人は約18%で、このうち鬱病が約6%、不安障害が約6%、薬物乱用による障害が約6%という結果が表れた。
 また、鬱病と不安障害は男性より女性が多く、若い世代よりも40代以上が多い。またアルコール依存症は男性は女性の38倍となり、農村住民の方が都会の住民と比べて鬱病もアルコール依存症も多かったという。
 子供の精神障害も増加している。中国科学院心理研究所が北京市の1800の家庭を対象に3年間の追跡調査を行った結果、3分2の家庭で不適切な教育から、子供たちがさまざまな精神的障害を抱えている。

大学生の精神障害の発病率は、全疾病の中で1989年の約20%から98年には約27%に増加。天津市が大学生5万人を対象に行った調査でも、精神障害は16%以上にも達し、北京大学ではこの10年で精神障害罹患(りかん)を理由に休学、退学した学生は、全退学者の約3分の1を占めた。
 中国が02年に行った初の自殺に関する調査によれば、中国での年間自殺者は28万7000人に上り、国際平均を上回っている。15~34歳の死亡原因のうち自殺はトップとなっている。

足りぬ医師
 精神障害者の増加と裏腹に、専門的な医療機関や専門医師の不足が深刻だ。中国疾病予防センターのデータによれば、05年末時点で、全国に精神疾病医療機関はわずか572カ所しかなく、精神科医の人数は1万6383人、精神科医は10万人に1人しかいない計算になる。また何らかの治療を受けている精神障害者は3分の1にすぎず、残りの3分の2は経済的な理由などから治療を放棄しているという。                                                                              

(上海支局)
精神疾患の増加は、どうやら日本だけの問題ではなさそうだ。国が大きいだけに原因も複雑化し解決に至るまでにも、困難ではあるが、先行している日本の先駆的なメンタルヘルス手法をお手本にせざる終えないだろう。

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